鎌倉アルプストレイル(朝夷奈切通から六国見山へ)
GWの中日、5月3日昨日の雨が嘘のように晴れ渡る青空。今日は久しぶりに鎌倉のトレッキングを楽しみたい。京都とはまた違う、歴史と海沿いの風景を満喫できるのも鎌倉の魅力だ。メインは老若男女が楽しめる有名な天園ハイキングコースだが、その前後に少しアレンジを加えて鎌倉の歴史と風景を楽しみたい。 スタートは京急線の横浜金沢八景駅からバスで10分ほどの朝比奈バス停だ。工場の脇を抜けると日本遺産にも指定されている「朝夷奈切通(あさいなきりどおし)」の入口が突如現れる。第3代執権北条泰時が切り開いたと言われ、鎌倉の東の守り口であり、様々な物資がここを通じて運ばれた交通の要でもある。GWとは言え、この辺りに人の往来はなく、左右に垂直にそそり立つ切通に立つと、往事の様子がまざまざと浮かび、思わず背筋が伸びるようだ。また、下りに差し掛かれば道は水の流路にあたり、加えて昨日の雨の影響で足元はかなり荒れて、滑りやすくなっているので注意が必要だ。





切通道を抜け左手に小さな滝を見かければ、正面は突き当りで左右に道が分かれる。左に行けば「十二所果樹園」への登りだが、ここは右手に折れて「十二所神社」県道204号方面へ降りていこう。国道を渡り小川をまたいだら暫く民家の間を歩くが、暫くすると左手に小さく天園ハイキングコースの標識が見える。階段を登っていくと地元の方が植えたと思われる草花やwelcome、トトロのトンネルの入り口等の看板が出迎えてくれ、何となくワクワクしてくるのだ。そして、いざハイキングコースへ足を踏み入れるのだが、そこは「ハイキングコース」と言うよりは「獣道」のようで人の往来もなく、昨日の雨で一層歩きにくさを増しており、これはこれで目的地に向かって歩くというよりは、自然を感じて歩くというトレッキング本来の楽しみが味わえるコースかもしれない。獣道を20分程も登っていくと明るく開けた道に突き当たるが、こちらが瑞泉寺から登ってくる一般的なハイキングコースだ。ここまでがまずは前半のアレンジコースで、歴史と自然を感じながら、厳しい道を歩き登るという楽しみを満喫できるだろう。






さてここからは、途中いくつかの目的地を目指しながら、鎌倉の風景を楽しむメインコースだ。この日は、やはり絶好のハイキング日和ということもあり、多くのハイカーがこのコースを行きかっているが、ポイント、ポイントで山や海や街並みを楽しみながら進んでいきたい。まずは最初の目的地「天園休憩所」を目指そう。行きかう人も多いので、道に迷うこともなく登っていけば、少し開けた広場とベンチが見えてくる。残念ながら、茶屋は既に閉店しまっているようだが、天園の案内板と向かい側には遠く富士山や鎌倉の海も見渡せる場所が現れる。案内によれば、ここは丁度横浜と鎌倉の境界線で横浜の最高地点(標高141m)とのこと。つい先日、横浜都筑低山トレイルで都筑最高峰に登ったばかりだが、今日は横浜の最高地点に登攀できたとは、なんともうれしい限りである。折角なので、休憩所のベンチで一息ついて景色を楽しみながら一休みすることにしよう。
一休みした後は、鎌倉の最高峰大平山(標高159m)へと向かおう。とは言っても、天園から少し下っていくと右手にゴルフ場が見えてくるので、ティーグラウンドに立つゴルファーを横目に見ながら、10分程も歩けば小高い里山が見えてくる。岩肌に足を滑らせないよう注意しながら登れば、そこが大平山山頂だ。何と10分程度で横浜から鎌倉の最高峰を縦走できる、なんとも素晴らしいコースではないだろうか。しかも、こちらはコースもある程度整備されているので、小さいお子さんでも、ある程度ご高齢の方でも縦走可能だ。ちなみに、この日はお子さんを抱っこして歩くお父さんの姿も見かけた。



鎌倉最高峰を制覇した後は北鎌倉駅方面へ下っていくのだが、途中には、まだ絶景ポイントがあるので、そちらの景色を楽しみにしながら歩を進めよう。まず目指すのは十王岩だ。かながわの景勝50選に選ばれる場所だが、十王岩そのものは冥界の十王が刻まれた岩だけなので、十王様には申し訳ないがうっかりすると通り過ぎてしまいそうだ。しかし、岩の上に登るとその景色はまさに景勝だ。岩から見下ろす目の前が鶴岡八幡宮にあたり、そこから延びる若宮大路とその先の鎌倉の青い海と空、この日は快晴に恵まれたこともあり、今日一番の景色を満喫することができた。



さて次は勝上献展望台へと向かおう。十王岩からはさほど距離もないが、ここは丁度建長寺の裏山にあたりハイキングコースは建長寺の入口ルートと今泉台の入口ルートへの分岐点となる。こちらからは眼下に見下ろす建長寺の伽藍と遠くの鎌倉アルプスが見渡せる。多くはここで建長寺へと向かい、建長寺の拝観を最後にコースの終了を迎えることになるが、今日は後半にもう一つアレンジコースを用意しているので、もう一つの今泉台入り口へと向かおう。この道を少し下ればコースの入口から今泉台の住宅街へ抜け出ることになる。ここで今日のメインルートのトレイルは終了だ。




王道のハイキングコースをたどって鎌倉の風景を楽しんだ後は、折角なので最後にもう一つアレンジを楽しもう。鎌倉を取り巻く峰々の一番外側に位置する六国見山(標高147m)は、相模、武蔵、安房、上総、下総、伊豆の6国を見渡すことができることから、この名前が付いたとされている。先ほどの今泉台の住宅街を通り抜け(ここは鎌倉の防御の名残なのか、道路が放射線状に伸びており、抜けるのが大変だが)、暫く歩くと六石見山の登り口にたどり着く。そこからは山道を登っていくのだが、山の主変は六石見山森林公園となっているため、道もある程度整備されているので、こちらも安心して登って行ける。途中三角点もあるが、ここは展望台を目指して進みたいところだ。展望台には6国の方角を示した案内板もあるので、そちらで方角を確認しながら、見晴らしを楽しもう。こちらが本日の後半のアレンジコースだが、朝比奈からかなり歩いてきて、いくらか疲れもピークに達してきたようなので、ここは少し軽めのコースとした。暫く景色を楽しんだら森林公園の中を下り、北鎌倉の市街地へと進んでいこう。北鎌倉駅まではただただ、下っていくだけだが、やはり直線コースはないので、迂回しながらの帰り道である。



GW後半初日で、前日の雨からきれいに晴れ渡った、鎌倉の景色と歴史を久しぶりに満喫することができた、4時間、12kmのトレイルだった。
まだ、体力に自信がある方は鎌倉までの神社仏閣めぐりもどうぞお勧めだ。私はいくらか疲れも溜まっていたので、北鎌倉駅前で遅めの昼食をとり、鎌倉駅までの道すがら円覚寺と鶴岡八幡宮を参詣して帰宅の途に就いたが、古都鎌倉の雰囲気も京都とは違う風情があり、また格別である。




